
Tiptop Audio「ART シリーズ」について
ART は Tiptop Audio が提唱するユーロラック・モジュラーの新しい規格です。その主な目的はユーロラックでポリフォニックをよりシンプルに構築することです。これまでユーロラックでポリフォニック・シンセを組むには、非常に多くのモジュールと煩雑なパッチングが必要でしたが、この新しい ART システムの導入により、このような問題の多くを解消することができます。
ART 信号はノートのオン/オフ、ピッチベンド、ベロシティなどを含むノート情報のデジタル・プロトコルですが、転送速度は MIDI の 40 倍以上で、オシレーターは高精度のチューニングを実現しています。ART 信号は一般に使われている 3.5 mm のパッチ・ケーブルで伝送されるため互換性に優れ、アナログの 1V/Oct のピッチ CV やモジュレーション CV と同様に簡単にパッチングができ、マルチプルやスタック・ケーブルを使った分配が可能です。それに加え、USB-C タイプのプラグを利用したマルチ・チャンネル対応のケーブル、Polytip の発売が予定されています。この Polytip に対応した ART モジュールでは、さらにシンプルなパッチングが可能になります。
このように ART 信号はユーロラック・モジュラーに新しい息吹を吹き込む、とても便利なものですが、これまでの 1V/Oct のピッチやゲートなどのアナログ信号とは全く異なるデジタル信号です。そのため ART システムには、ART 対応のオシレーターとコントローラーが必要になります。最初に発売された ART シリーズの 5 つのモジュールは、ART システムの基本的なコンセプトを体現しています。2 種類の ART コントローラー、ART QUANTIZER と OCTOPUS はその中心的となるモジュールでポリフォニック・シンセの構築を簡素化し、これまでにない精度のピッチでの演奏を可能にします。