A-110-6 はトラペゾイド(台形)コアのスルーゼロ・クアドラチャー VCO です。このモジュールは 2003 年の Donald Tillman のアイデアに基づいて制作されていますが、最新の電子回路 (OTA / CA3280なし) の使用につき改定されています。他の VCO と比べて全く異なるユニークな台形コアですが、これは唯一の特徴ではありません。クアドラチャー VCO であり、リニア特性のスルーゼロ・フリーケンシー・モジュレーションが可能です。
「クアドラチャー」という用語はオシレーターが90度の位相シフトを有する2つの台形波を出力することを意味します。A-110-4 や A-143-9 のようなスタンダードなクアドラチャーオシレーターと同じです。これらの波形は TRASIN (トラペゾイド・サイン)と TRACOS (トラペゾイド・コサイン)と呼ばれます。
「Thru Zero」はネガティブ・フリーケンシーが生成される事を意味します。しかしこれは誤解を招く言い方で実際にはネガティブ・フリーケンシーは存在しません。ネガティブが意味するのはこの接続が単にリニア CV が 0V に達した時にサイン/コサイン波が停止し、そして逆の方向にリニア CV が進むとサイン/コサイン波が逆相になります。
このモジュールにはリニアとエクスポネンシャル2つのコントロール・セクションがあります。エクスポネンシャル・セクションは XTune コントロール、1V/Oct 入力、XFM 入力、XFM アッテネーターで構成されています。エクスポネンシャル CV はこれら3つの電圧の合計です。
リニアセクションは LFrq コントロール、LFM 入力、LFM アッテネーターで構成されています。リニア CV はこれら2つの電圧の合計です。デュアルカラー LED はリニア CV の極性を表示します。全ての出力のピッチは、両方のセクションの CV により決まります。
リニア・セクションは、線形にピッチを制御するために使用します。LFrq コントロール (LFrq はリニア・フリーケンシー・コントロールを意味します) が完全に時計回りの場合、モジュールは通常の VCO のように動作し LED は赤色に点灯します。ピッチはエクスポネンシャル・セクションのマニュアル・コントロール XTune とエクスポネンシャル・フリーケンシー・コントロール入力 1V/Oct と XFM でコントロールされます。1V/Oct CV ソース (例えばシーケンサーまたはMIDI/USB-CVインターフェイス)によってピッチをコントロールするために、1V/Octが使用されます。XFMは(例えば LFO または他の VCO からの)かかる深さを調節できるエキスポネンシャル・フリーケンシー・モジュレーションをするために使用されます。
LFrq コントロールが完全な時計回りの位置から開始して反時計回りに回転すると、TRASIN / TRACOS が LFrq の中心位置 (ほぼLFM信号が存在しない場合)で停止するまで直線的に周波数が低下します。LFrq 制御が中心から反時計回り位置に向かって動くと、波形は再び動きますが逆方向になり LED は黄色に変わります。LFrq が完全に反時計回りの位置に達すると、モジュールは通常の VCO のように再び動作します。しかし LFM 入力を使用して外部 CV (通常は別のVCO)によってリニア CV を変調する事は非常にエキサイティングな結果をもたらします。スルーゼロ機能をトラペゾイド波形と組み合わせて使用する別のオシレータによるリニア・モジュレーションは、スルーゼロ関数なしの他のオシレーターからは得られない音声スペクトルを生成します。その理由はリニア CV がゼロまたはネガティブになると「通常の」VCO が単に停止するためです。しかしリニア CV がネガティブになると、ネガティブの VCO で再び VCO が動きます。
トラペゾイド波形の他にも三角波、サイン波、矩形波、ノコギリ波の合計5種類が用意されています。5種類の波形はすべてクアドラチャーペア(90度位相がシフトしているペア)として利用できます。
製品名 | A-110-6 Trapezoid Thru Zero Quadrature VCO |
製品種別 | ユーロラック・モジュラーシンセサイザー |
定価 | 47,800 円(税別) |
JAN コード | 4582348927516 |
幅 | 12HP |
奥行き | 55mm |
消費電流 | +12V : 80mA
-12V : 70mA |