Rossum Electro-Music

Panharmonium

サポート情報

最新ファームウェア

Panharmonium の最新ファームウェアは Rossum Electro-Music の Web サイトからダウンロードできます。

製品ページの「Downloads」をクリックしてください。ファームウェアは WAV 形式の音声ファイルです。ブラウザから直接音声を再生しても、ZIP ファイルをダウンロードの上解凍し、WAV ファイルをオーディオ・ソフトウェア再生してもアップデート可能です。アップデート方法はクイック・スタート・ガイドをご覧ください。

Panharmonium クイック・スタート・ガイド

このガイドでは Panharmonium を使用して興味深いサウンドを生み出す方法を解説するだけではなく、Panharmonium の概要についても説明します。しかし Panharmonium は現行の他のモジュールには無い機能を搭載しているので、それらを最大限に活用するには次のURLで完全なオーナーズ・マニュアルを確認する必要があります。

Panharmonium はあらゆるオーディオ信号のスペクトル・コンテンツを分析し、その分析結果を使用して1〜33個のオシレーターで構成された「オシレーター・バンク」を動作させて新しいサウンドを生み出す、ユニークなサウンド・デザイン・ツールです。 Panharmonium はその設定に応じて入力スペクトルをリアルタイムで正確に再現したり、さまざまな創造的な方法で修正したりできます。

入力のスペクトルの変化に合わせて進化する高密度の渦巻くパッドやドローンから、クロック同期可能なスペクトル・アルペジエーション、そしてまだ名前のないハーモニクス・エフェクトまで、Panharmonium は全く新しいサウンドの世界を切り開きます。

さらに Panharmonium は瞬時にスペクトルのスナップショットを作成し、それを複雑なはいフリーケンシー・オシレーターとして使用できます。これは Panharmonium の他のすべてのコントロールによって修正およびモジュレーションする事ができます。

モジュールの設置

すべての Rossum Electro-Music モジュールは逆極性から保護されていますが、電源ケーブルを正しく接続するように注意して下さい。ケーブルの赤いストライプ(-12V側)がヘッダーの「Red Stripe(-12V)」テキストと同じ端になるように、モジュール背面のPCBに用意されたヘッダーに16ピンコネクタを差し込みます。

Panharmonium は最大 140mA の +12V と 30mA の -12V を必要とします。M3とM2.5(ベクターレール用)の両方の取り付けネジが同梱されています。システムに合ったものを使用してください。キズが気になる場合はケースに Panharmonium を取り付ける際に付属のナイロン・ワッシャーを使用してください。

Make Some Noise!準備ができたら音を鳴らしてみましょう!

Panharmonium が生み出すサウンドを最も早く聞くための簡単な方法は、工場から事前にロードされたプリセットとスペクトルを使用することです。詳細についてはマニュアルのファクトリー・プリセットの章を参照してください。

あなたが冒険好きで、今すぐ Panharmonium のサウンドを試したい場合

  • CENTER FREQ と BANDWIDTH コントロールの両方を12時の方向に設定します。
  • L-FX-R LEDが点灯するまで OUTPUT MODE ボタンを押します。これにより入力が L&R 出力に渡され Panharmonium のモノ出力が L&R 出力の両方に表示されます。
  • いくつかのオーディオを INPUT(S)にパッチします。(L INPUT にパッチされたモノラル信号は、R INPUT にも内部接続されます。)入力するオーディオはリッチなハーモニック・オシレーターの単音から、既存の楽曲の 2MIX まで何でもかまいません。
  • MIX コントロールを使用して入力オーディオと Panharmonium の出力をクロスフェードします。
  • ノブを回し始めましょう。真剣に注意深く色々なノブを回してみて、何が起こるかよく観察しましょう。操作するうちに面白い挙動を発見したら、それをモジュレーションしてみてください。
  • それでは、マニュアルを読み進めて行きましょう!

機能の概要

Panharmonium は機能的なサブモジュールの組み合わせによって、その魔法とも言えるサウンドを実現します。

SPECTRAL ANALYZER(スペクトル・アナライザー)

スペクトル・アナライザーは、分析プロセスを定義するためのツールを提供します。

  • SLICE パラメーターは入力したオーディオがスペクトル・データに変換されるレートを設定します。SLICE および MULTIPLIER コントロール、TAPボタン、または外部クロック信号によって設定できます。SLICE TIME が非常に短いとリアルタイムにスペクトルデータが得られ、SLICE TIME が長いとリズミカルなスペクトル・パターンが作成されます。CV1 入力は CV 信号によるコントロールのために MULTIPLIER に割り当てることができます。
  • MULTIPLIER を8に設定して受信したボタン・タップまたは外部クロック・レートを使用します。4、2、および1に設定すると、ステップの長さを2で連続的に分割します(つまりレートが上がります。)FREEZE TAP モードでは、ボタンを押した時、または TAP / SYNC パルスを受信したときにのみ新しい分析が実行されます。
  • CENTER FREQ および BANDWIDTH コントロール(および関連するCV入力とアッテネーター)は、分析するフリーケンシー・レンジをコントロールします。BANDWIDTH コントロールを使用すると、ノブを左側に回すとで狭いパス・バンドから広いパス・バンドを選択し、ノブを右に回すとで狭いパス・バンドから広いノッチ・バンドを選択できます。
  • FREEZE ボタンを使用すると、スペクトル・インテグレーターをフリーズして、現在分析されているスペクトルを保持できます。
  • SLICE CLOCK OUTPUT は各分析スライスの開始時にトリガーを出力します。

SPECTRAL MODIFIERS(スペクトル・モディファイアー)

これらのコントロールにより分析したスペクトルをクリエイティブに変更できます。

  • VOICES パラメーターは1〜33個のオシレーターを選択してスペクトルを再合成できます。CV1 入力は CV によるコントロールのために VOICES に割り当てることができます。
  • BLUR パラメーター(および関連する CV 入力)は、スペクトルの変化の速さをコントロールするスペクトル・ラグ・プロセッサーです。BLUR を最大にするとスペクトルをフリーズします。(FREEZEボタンを押すのと同じ効果です。)
  • FEEDBACK コントロールを使用すると、再合成されたオーディオをプロセス・チェーン全体にルーティングして、微かな、または劇的なフィードバック効果を得ることができます。コントロールが最大でも、入力を削除しても、単独で出力します。CV1 入力は CV によるコントロールのためにフィードバックを割り当てることができます。

OSCILLATOR BANK(オシレーター・バンク)

OSCILLATOR BANKは分析されたスペクトルを再合成します。

  • WAVEFORM パラメーターはオシレーターの波形を選択します。通常のサイン波、三角波、ノコギリ波およびパルス波に加えて、2つの特別なクロスフェード・サイン波およびノコギリ波が含まれています。(詳細についてはマニュアルを参照してください。)CV2入力は CV によるコントロールのために WAVEFORM に割り当てることができます。
  • FREQ コントロールを使用するとオシレーターを +/- 7半音範囲で調整できます。周波数は 1V / OCT 入力と FM 入力およびアッテネーターによってさらにコントロールされます。
  • OCTAVE コントロールは驚くことではありませんが、出力のピッチをオクターブ単位でシフトします。CV2入力は CV によるコントロールのために OCTAVE に割り当てることができます。
  • GLIDE はポリフォニック・グライドの量を設定します。(つまり各オシレーターには独自のグライド回路が用意されています。)CV2入力は CV によるコントロールのために GLIDEに割り当てることができます。
  • MIX コントロール(および関連するCV入力)は元の入力オーディオと再合成されたオーディオのバランスを設定します。
  • OUTPUT MODE は入力したオーディオと Panharmonium 出力の2つのルーティングを選択します。

OPTIONAL FUNCTIONS(オプション機能)

多くのオプション機能はボタン押す事で選択、変更できます。(詳細については本ガイドの後半をご覧ください。)

  • DRUMS モードはドラムやその他のパーカッシブな入力のスペクトル分析に最適です。
  • WARP モードのスペクトル・ワーピングは、スペクトル要素間のハーモニック関係が保持される従来のフリーケンシーの調整とは対照的に、ハーモニック要素を個別にシフトし、さまざまな混沌とした分厚いテクスチャを生成します。
  • SEMI モードはフリーケンシーの調整を半音単位にクォンタイズします。

SPECTRUM AND PRESET MEMORIES(スペクトルとプリセットの記憶)

Panharmonium は12ユーザーのスペクトルと12ユーザーのプリセットを記憶できます。プリセットはすべてのモジュール設定のスナップショットであり、プリセットの保存時に存在する CV の値も含まれます。スペクトルはライブ入力を置き換え、そのピッチを 1V / OCT 入力と FM 入力でコントロールできます。プリセットとスペクトルは WAV ファイルにバックアップ、および復元できます。

プリセットまたはスペクトルのロード

プリセットまたはスペクトル1〜6をロードするにはボタンをクリックします。(各セクションの上の行が1〜3、下の行が4〜6です。)関連するLEDが点灯します。7〜12を選択するには目的のボタンをダブル・クリックします(各セクションの上の行が7〜9、下の行が10〜12です。)関連するLEDが点滅します。もう一度ボタンをクリックまたはダブル・クリックしてプリセットまたはスペクトルの選択を解除します。

プリセットまたはスペクトルの保存

現在のスペクトルまたはプリセットを保存するには、目的のボタンをクリックまたはダブルクリックし、そのまま関連するLEDが点滅するまで押し続けます。

工場出荷時のプリセットとスペクトル:Panharmonium にはサンプルのプリセットとスペクトルが付属しています。詳細についてはマニュアルを参照してください。

Alternate Function Modes(オルタネート・ファンクション・モード)

DRUMS モード

OUTPUT MODE / OPTION を押しながら、SLICE ノブを最小にすると DRUMS モードになります。LED が点灯し DRUMS モードが有効であることを示します。SLICE ノブをもう一度回すと終了します。

WARP モード

OUTPUT MODE / OPTION を押しながら、FREQ ノブを回すとワープモードになります。LED が点灯し WARP モードが有効であることを示します。Release / OPTION でフリーケンシーの調整に戻ります。(選択したワープは残ります。)ワープが有効である限り LED は点灯したままになります。OUTPUT MODE / OPTION を押しながら FREQ ノブを12時の位置に回すと WARP をキャンセルします。LEDが消灯します。

SEMI モード

TAP / OPT を押しながら FREQ ノブを回すと半音単位でフリーケンシーを調整できます。TAP / OPT を離すと通常のフリーケンシーの調整に戻ります。

FREEZE TAP モード

通常のタップ・モードとフリーズ・タップ・モードを切り替えるには FREEZE と TAP / OPT を1秒間押し続けます。MULTIPLIER LED が点灯し FREEZE TAP モードが有効であることを示します。

CV Target Assignment(CV ターゲットの割り当て)

CV1 にパラメーターを割り当てるには TAP / OPT を押しながら MULTIPLIER、VOICES、FEEDBACK ノブのいずれかを回します。CV1 入力は選択されたパラメーターに割り当てられ、以前に選択された他の2つは選択が解除されます。

上記のようにパラメーターを割り当てるとき TAP / OPT 1秒以上押し続けると、SPECTRA LED およびボタンに CV1 の割り当てが表示されます。TAP / OPT を押し続けている限り、LED には現在 CV1 に割り当てられているパラメーター(存在する場合)が表示されます。関連付けられたボタンを押すと状態を切り替えることができます。このようにして1つのCVで3つすべてのパラメーターをコントロールできます。

CV2 へのパラメーターの割り当ては上記のプロセスと同じで、OUTPUT MODE / OPTION ボタンを押しながら WAVEFORM、OCTAVE、GLIDE ノブのいずれかを回します。プリセット LED とボタンには CV2 の割り当てが表示されます。

Software Update(ソフトウェアの更新)

  1. SPECTRA 5および6を押しながらシステムの電源を入れます。MULTIPLIER 2、8、32 が点灯します。
  2. TAP / OPT を押します。MULTPLIER 2、8、32が消灯します。SPECTRA 1 が点灯します。
  3. ソフトウェア WAV ファイルを 1V / OCT へ入力し再生します。SPECTRA 2 が点灯し音声が検出されたことを示します。SPECTRA 3 が点灯し受信データを示します。
  4. MULTIPLIER LED は進行状況を示すインジケーターになります。
  5. SPECTRA 4 は転送がすべて正常に行われ、モジュールが自動的に再起動すると転送の終了時に短時間点灯します。

すべての MULTPLIER および PRESET LED が点灯する場合は再生レベルが適切ではありません。TAP / OPT を押して再生レベルを調整し、手順を再試行します。

Utilities(ユーティリティー)

さまざまなユーティリティ機能にアクセスするには TAP / OPT と FREEZE と OUTPUT MODE / OPTION を押してから、次に説明する PRESET ボタンのいずれかを同時に押します。 (これらの機能の詳細な説明についてはマニュアルを参照してください。)

  1. ソフトウェアバージョンの表示(形式:SPECTRA LED.PRESET LED。例:1.1、2.3など)
  2. 機能なし
  3. コンパクトフラッシュメモリ
  4. すべてのスペクトルとプリセットをWAVファイルにバックアップします
  5. WAVファイルからすべてのスペクトルとプリセットを復元する
  6. 転送メニューを呼び出して、個々のスペクトルとプリセットを保存またはロードします。 終了または中止するには、OUTPUT MODE / OPTIONを押します。

また SPECTRA ボタンを押すことで使用できるキャリブレーションおよびテスト機能もありますが、それらを操作する必要はほとんどありません。興味のある方はマニュアルをご覧ください。

2019年8月作成

※本クイック・スタート・ガイドは英語版「Panharm_QSG_061219.pdf」を翻訳し、一部テキストの加筆修正と図解写真を加えたものです。